イソフラボンとは

大豆胚芽に多く含まれるポリフェノールの仲間です。化学構造が女性ホルモンと似ており、体内で女性ホルモンと似た作用をすることから、ファイトエストロゲン(植物性エストロゲン)といわれています。

エストロゲン、大豆イソフラボン(例:ゲニステイン)の化学構造

イソフラボンのはたらき

天然物であるイソフラボンは、エストロゲンの不足時にはアゴニスト(作用剤)としてエストロゲン様の作用を有します。ところが、エストロゲン過剰時にはアンタゴニスト(拮抗剤)としてエストロゲン作用を減弱させる働きがあります。つまり、エストロゲン様の作用をし続けるだけでなく、きちんと調整されるのです。そのため、女性の不定愁訴の改善のために安心して摂取することができます。特に、ホルモンバランスが乱れる更年期女性の強い味方です。

また、エストロゲンは、カルシウムをコントロールする物質のひとつで、カルシウムが骨から過剰に溶出するのを防ぐ作用をもっています。また、骨量を増やす作用もあります。骨粗鬆症の予防と改善に、イソフラボンは有効です。

電子顕微鏡で見た閉経前後の骨組織

体内のカルシウムは99%が骨や歯に、残りの1%が血液中や筋肉、脳にあります。神経のいらだちを抑えたり、心臓の活動を守るなどの働きがあります。生体恒常性(ホメオスターシス)の維持に非常に重要な分子であり、血中濃度は厳密にコントロールされています。

更年期障害の一番の原因はホルモンバランスの乱れ

年齢による女性ホルモン分泌量の変化更年期は、閉経前後の数年を指し、誰もが経験するライフステージです。この時期から卵巣機能が低下し、ホルモンバランスが乱れ、種々の更年期障害を生じるようになります。

オリーブ葉エキスとは

オリーブの葉から抽出したエキスで、様々なウイルスを殺すがヒトの細胞にはダメージを与えない、天然の抗ウイルス剤です。その他、ほとんどの病原微生物にも優れた効果があることが確かめられており、特に真菌・カンジダ・イースト感染症などにも優れた効果があります。また、マクロファージや好中球の働きを活性化させ、免疫力を高める作用もあります。
1827~1855年に、オリーブの葉を煎じたお茶によるマラリアに対する効果が報告されました。

免疫力向上に役立つオリーブ葉エキス

1:免疫力を高める
(白血球の活性化)
2:病原菌を直接攻撃する
(細菌やウイルスを不活性化)
ウイルスや細菌による感染症に幅広く効果を発揮!

抗生物質等と異なり、耐性菌を作りません。妊娠をお考えの方や妊娠中の方、高齢者、小児でも安心して使用できます。また、一部の薬剤のように眠くなる成分を含んでいません。

オリーブ葉エキスに含まれる主な成分とはたらき

1次的段階

オーレユーロペン
抗菌・抗ウイルス作用
抗酸化作用
ポリフェノール類
抗菌・抗ウイルス作用

2次的段階

エレノール酸
抗菌・抗ウイルス作用
ヒドロキシチロシル
抗炎症作用
抗酸化作用

オーレユーロペンは体内でエレノール酸やヒドロキシチロシルなどに分解され、抗菌・抗ウイルス作用及び抗酸化作用を発揮することが報告されています。

このような感染症に効果を示します。

  • インフルエンザ
  • ヘルペス
  • ロタウイルス
  • EBウイルス
  • カンジタ
  • 歯周病
  • 水虫 等

オリーブ葉エキスへの暴露と菌の生存率の経時的変化

細菌に濃度0.6%のオリーブ葉エキスを、異なる時間曝露※させた結果、枯草菌以外は、曝露1時間後には急激な現象を見せた。

※試験管に細菌を入れ、オリーブ葉エキスに曝すこと。

D.Markin et al.(2003) Mycoses,46,132-136より一部抜粋

【オーソモレキュラー的・感染症への対策】PDFファイル

さらに効果をアップ!~相乗効果のある栄養素~

  • オリーブ葉エキスと共に、エキナセア※の抽出物、グレープフルーツ種子エキスを併用すると、さらにインフルエンザ等に対する感染抑制効果が確認されています。(2001年 「感染症と栄養」 分子栄養学研究所)
    ※エキナセア
    キク科の植物で、数百年前からネイティブ・アメリカンの間で万能薬として利用されていました。有効成分は、フコガラクトキシログリカンと酸性アラビノガラクタンという多糖で、これらの多糖が免疫細胞を活性化し、細菌及びウイルス性の感染症に対する効果が期待できます。
  • ビタミンCは、好中球の自走能を高めるため、一緒に摂ると、免疫力の向上により有効です。

ラクトフェリンとは

ラクトフェリンは、母乳、涙液、唾液、血液、粘液等の分泌液や好中球に分布する鉄結合性糖タン白質で、感染防御に必要な成分です。ヒトの初乳に特に多く含まれ、乳児におけるウイルスや細菌などの感染を防ぐ重要な成分です。また、ストレスや薬物、老化等による腸内細菌叢の乱れを防ぎ、腸管免疫システムの恒常性を保持するなど、多機能タン白としての作用が期待されています。

ラクトフェリンの機能

腸管免疫ネットワークへの働き

免疫機構は、細菌やウイルス等の外敵から身体を守るための防御システムであり、細胞のがん化や花粉等のアレルギー物質に対する防御能も免疫の力によるものです。これらの防御システムの一躍を担うのが腸管免疫ネットワークです。全身の免疫細胞の60~70%が腸管に集中していると考えられています。

①免疫調整機能
小腸にあるパイエル板は、リンパ球が集合した免疫組織で、全身の免疫ネットワークの維持に大きく関与しています。ラクトフェリンは、このパイエル板に働きかけて、免疫細胞を活性化します。
②抗菌・抗ウイルス作用
ラクトフェリンは、鉄との結合力が大変高いため、マクロファージや好中球の中で鉄を利用したフェントン反応(強力な活性酸素の発生)を活性化して、細菌やウイルスを攻撃します。

腸内細菌叢改善作用

腸内には善玉菌と悪玉菌が共存しています。しかし、加齢やストレスによって善玉菌が減り悪玉菌が増えることで、腸内細菌層のバランスが乱れ、体調が崩れる原因になります。

マウスに牛乳だけを与えて飼育すると、マウスの糞便中の大腸菌は通常の飼料で飼育した場合と比べて約100倍に増加した。一方、ラクトフェリンを2%添加した牛乳の場合は、添加しない牛乳に比べて有意に抑制された。

鉄吸収調節作用

鉄は、大切なミネラルです。成長期のお子さんや有経の女性は特に不足しがちです。

歯周病の抑制作用

歯周病は、口腔内のみならず、全身に影響を及ぼす疾患であることがわかってきています。

ラクトフェリンを含む食品

乳に含まれる栄養素ですが、熱と衝撃に弱いため、市販の牛乳等ではほとんど破壊されて微量しか含まれません。サプリメントで摂取するのが最も効果的です。

ラクトフェリンは小腸以下の消化管で作用するため、腸まで届かせることが大切ですが、酸にも弱いために、胃酸が出ていると分解されてしまいます。食前もしくは、食後1時間経過以降に摂るのが効果的です。胃で解けないような加工を施すと、加工の際の衝撃でラクトフェリンが分解されてしまう可能性もあります。

プロバイオティクスとは

腸は、免疫機能を担う身体内で一番大きな臓器です。その腸内の環境を整える作用のある栄養素です。

■プロバイオティクスとプレバイオティクス
プロバイオティクス プレバイオティクス
人の身体に良い影響を与える微生物(生菌)
例)有胞子性乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉菌
善玉菌を増殖させる働きを持つ食品成分
例)オリゴ糖、食物繊維など

腸内には、主に回腸から大腸にかけて約100兆個もの腸内細菌が生息していると言われ、これは重さにして約1kgにもなります。これらの細菌は、同じ種類のものがまとまって分布し、まるでお花畑のように腸壁を覆っているため、「腸内フローラ」・腸内細菌叢と呼ばれます。
腸内細菌は、働きによって一般的に大きく3つに分けられます。

  • 善玉菌(有胞子性乳酸菌、ビフィズス菌など)
  • 悪玉菌(ウェルシュ菌、ブドウ球菌など)
  • 中立菌または日和見菌(大腸菌など)

これらの菌の比率は、健康な人であれば一定に保たれます。また、腸内フローラは人それぞれ異なります。

善玉菌と悪玉菌は常に生存競争をしています。様々な原因で腸内フローラのバランスが崩れると腸内環境が悪化して、体調を崩す原因になります。

腸内フローラの変化

年齢と腸内フローラの移り変わり

  • 胎児は、母体にいる時は無菌状態である
  • 年齢を重ねるごとに、ウェルシュ菌(悪玉菌)が増加し、ビフィズス菌(善玉菌)が減少する

光岡知足(1986)「腸内細菌叢の分類と生態」
中央公論事業出版、東京より引用

悪玉菌が増えると・・・

腸内細菌叢のバランスが崩れて、悪玉菌が多くなると、身体にいろいろな不調が起こります。

  • 有害な菌が増殖し、感染症を引き起こす
  • 腸内で有毒なガスが発生し、おならや便が臭くなる
  • 発生した有毒なガスが血液中を運ばれ、全身に広がる
  • 便秘・下痢を起こす

悪玉菌が増える主な原因は、いろいろあります。

  • 食生活の乱れ
  • 加齢
  • ストレス
  • 薬物の服用

プロバイオティクスを含む食品

乳酸菌を含む食品には、乳酸菌飲料やヨーグルトなど発酵乳があります。

しかし、せっかく摂った善玉菌も腸まで届かないとあまり意味がありません。一般的な乳酸菌は、乾燥や熱、酸に弱く、酸素が多いところでは死滅しやすいものです。食物は、口から摂取された後、胃で胃酸(強酸性)によって殺菌消化され、その後小腸で吸収されます。
胃酸で死滅せず、しっかり腸まで到達するには、有胞子乳酸菌が有用です。有胞子乳酸菌は、芽胞(殻)を形成し、腸管に到達してから発芽増殖します。

CoQ10は、かつてビタミンQといわれたビタミン様化合物です。CoQ10は、アメリカとイギリスで別々に発見され、それが同じものであると後でわかりました。

日本では厚生労働省が2001年にCoQ10を食品として扱えるように許可を出し、サプリメントとして摂ることができるようになりました。

CoQ10は、からだの中でエネルギー作りに関わったり、サビ取りをしてくれている大切な栄養素です。

コエンザイムQの種類 ~CoQ10~

コエンザイムとは日本語で「補酵素」のことです。コエンザイムQは、ユビキノンやコエンザイムQ10(CoQ10 )とも呼ばれます。「10」というのは、コエンザイムQの構造の中で、ある構造(イソプレノイド鎖)が10回繰り返されることから名付けられたものです。

ヒトのコエンザイムはすべてCoQ10です。一方、マウスやラットのコエンザイムQはCoQ9です。

生き物が自分で作れるCoQは、基本的に1つです。2つ以上のCoQの種類を持つ生き物はとても稀だといわれています。

CoQ10の性質

CoQ10はあぶらに溶ける性質を持っていて(脂溶性)、水にはほとんど溶けません。

CoQ10は光に弱く、光に当たるとだんだん分解されてしまいます。CoQ10はまた、アルカリ性物質と一緒にいることでも分解が進んでしまいます。

CoQ10の吸収

食事から摂ったCoQ10はどのように吸収されるのでしょう。

CoQ10はあぶらに溶ける性質を持っているので、胆汁酸に包まれて小腸から吸収されます。そしてリンパ管を通って血液中に移ります。

ヒトの生体内でのCoQ10の動向

ヒトのからだにあるCoQはCoQ10です。このCoQ10は、自分のからだの中で作られるCoQ10(内因性CoQ10 )と、食事やサプリメントから摂ったCoQ10(外因性CoQ10 )両方の影響を受けています。

CoQ10の分布

CoQ10はからだの中のエネルギー工場(ミトコンドリア内膜)にたくさん存在します。しかし、このエネルギー工場以外にも多く存在し、特に肝臓ではそのほとんどが還元型のCoQ10であることがわかっています。

CoQ10合成経路

CoQ10は、私たちのからだがつくり出しているビタミン様化合物です。CoQ10は主に肝臓でつくられます。

CoQ10は、アセチルCoAという物質からコレステロールと同じ経路でつくられていきます。

CoQ10はエネルギーを作り出すのに必須

CoQ10は私たちがエネルギーを作り出すのに必須の物質です。

CoQ10が足りなくなると、細胞の中でのエネルギー作りが滞り、最終的にエネルギーとして利用できなくなってしまいます。そのため、CoQ10が足りなくなると細胞が細胞本来の働きをしきれなくなってしまいます。

生き生きとした毎日を過ごすためにも、CoQ10はとても大切な栄養素です。

還元型CoQ10が抗酸化に働く

CoQ10には酸化型(CoQ)と還元型(CoQH2)の2つがあります。

からだの中でサビ取りに働いてくれるのは還元型のCoQ10です。還元型のCoQ10は、からだをサビ(酸化ストレス)から守ってくれています。

抗酸化作用 ~CoQ10とビタミンE~

還元型CoQ10はからだのサビ取りに働きます(抗酸化作用)。

CoQ10は、CoQ10自身が直接サビ取りに働くときと、間接的にサビ取りに働くときがあります。間接的に働く場合は、サビ取りをして疲れたビタミンEを元の元気なビタミンEに戻してくれる役割をしてくれています。

CoQ10とビタミンEが一緒にいることは、せっかく摂ったビタミンEの倹約になるという嬉しい作用につながります。

CoQ10は年齢とともに減少します ~CoQ10は老化の原因!?~

CoQ10は体内でつくられますが、その量は加齢とともに少なくなることが知られています。

そこで「老化」の大きな一因としてCoQ10の減少が注目されています。

心臓のCoQ10の量は20代がピークで、40代で30%、80代では50%以上失われてしまうといわれます。脳でも、70歳ころからCoQ10の濃度が低下するといわれています。

スタチン系薬剤はCoQ10の合成も抑制してしまう

CoQ10はコレステロールと同じ経路でつくられます。

脂質異常症でスタチン系薬剤を使ってコレステロールを抑えることは、同時にCoQ10の生合成も抑えてしまいます。

やむなくスタチン系のお薬を飲むときはCoQ10も一緒に摂るとよいでしょう。

CoQ10の臨床応用への期待

CoQ10の治療効果は、そのエネルギー作りを助ける作用や抗酸化作用によるところが大きいと考えられています。CoQ10は、以下の疾患などへの臨床応用が期待されています。

  • 心疾患
  • 高血圧
  • 歯周病
  • 抗がん剤の副作用軽減
  • 免疫改善
  • 糖尿病
  • 老化防止
  • パーキンソン病
  • 運動負荷による骨格筋保護作用 など

CoQ10の副作用の報告

1970年代から本格的なCoQ10摂取が始まりましたが、CoQ10の副作用の報告はまだありません。

CoQ10を多く含む食品

CoQ10を含む食品としては、大豆、くるみ、アーモンド、ほうれん草、イワシなど青背魚などがあります。しかし、体内で十分な効果を発揮するには現実的ではないほどの大量の食材を食べなければならず、CoQ10効果を出すにはサプリメントで摂るのが有効です。

CoQ10を多く含む食品

  • 青背魚
  • 肉類(牛、豚など)
  • 大豆
  • くるみ
  • アーモンド
  • ピーナッツ
  • ほうれん草 など

CoQ10は足りていますか?

該当する項目をチェックしてみましょう。
チェックが多い方は、CoQ10の補給で症状の改善が期待されるかもしれません。

動悸・息切れがする 免疫力の低下が気になる
  疲れやすい   トレーニングの成果が出ない
  足がむくむ   運動しているのに体脂肪が減らない
  冷え性で困っている   歯茎からの出血が気になる
  低血圧が気になる   肌のシワが気になる

核酸とは

私たちのからだは一見変わっていないように見えますが、毎日からだの中で新しい細胞が生まれ変わっています。
新しい細胞に生まれ変わるときに必須の物質、それが核酸です。

核酸はビタミンB群が人のからだの中で働けるようになるにも必須の栄養素です。

DNAは核酸の1種

核酸の種類にはDNAとRNAの2種類あります。

DNAは遺伝子の本体です。親から子へ、細胞から細胞へと伝えられる遺伝情報はDNAに書かれています。

1つの細胞に入っているヒトのDNAは、つなぎ合わせるとなんと2mにもなります。

核酸の単位

核酸のいちばん小さな単位をヌクレオチドといいます。ヌクレオチドがたくさんつながったものを核酸といいます。

ヌクレオチドは5角形の糖(5単糖)と塩基、リン酸という構造からできています。

核酸は分子量のとても大きいポリマーです。その分子量は1万程度から数百億。この大きな核酸という分子をずーっと小さく分解していくと、いちばん最後に5単糖と塩基、リン酸になります。

核酸塩基

核酸をつくっている成分「塩基」とは何のことでしょう。

塩基は炭素、水素、窒素、酸素からなっている環状構造になったもののことをいいます。 核酸をつくる塩基には、プリン塩基とピリミジン塩基の2つがあります。

プリン塩基はA(アデニン)・G(グアニン)、ピリミジン塩基はC(シトシン)・T(チミン)・U(ウラシル)です。

プリン塩基の覚え方

塩基の区別を覚えるのは少し大変です。そこで、語呂合わせを使ってプリン塩基の覚え方をご紹介いたします。
プリン塩基を覚えておけば、あとは覚えなくてもピリミジン塩基になります。

「プリンはAg」 Agとは「銀」のことです。

核酸に使われる塩基は4つ

DNAとRNAといった核酸に使われる塩基はそれぞれにつき4種類です。DNAとRNAで使われる塩基は3つが同じアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)で、チミン(T)とウラシル(U)だけが違います。

DNAに使われる塩基 RNAに使われる塩基
  • アデニン(A)
  • グアニン(G)
  • シトシン(C)
  • チミン(T)
  • アデニン(A)
  • グアニン(G)
  • シトシン(C)
  • ウラシル(U)

塩基の並びがつくるアミノ酸を指令します

塩基が3つずつ組みになって1つのアミノ酸の印になります(アミノ酸をコードする、といいます)。

たとえば、 AとUとG(AUG)でタンパク質をつくる最初の合図になるメチオニンをつくる元になり、 UGGが並ぶとセロトニンの素・トリプトファンをつくる元になります。

この塩基の並びによって、私たちのからだをつくってくれているアミノ酸やタンパク質がどうつくられるのか、指令されていくのです。

塩基のペア(塩基対)が DNAを安定させてくれる

DNAは2重らせんです。2重らせんのDNAの中で向かい合う塩基のペアは決まっています。必ずAはTと、CはGとペアをつくります。塩基のこのペアが崩れることはありません(相補性)。つまり、この塩基のペアがしっかりくっついてくれていることで、きれいな2重らせんが保たれているのです。

核酸の塩基はいろんな材料からできています

核酸の材料、塩基は何からつくられているのでしょうか?例えばプリン塩基のうちアデニンを例に見てみます。

アデニンはグリシン、アスパラギン酸、葉酸、グルタミンからできています。つまり、これらの材料をきちんと食べないとDNAの成分・塩基ができないことになり、細胞分裂の材料が足りないことになってしまいます。

核酸は肝臓でつくられる

人は自分に必要な核酸を自分の体内でつくることができます。核酸を1からつくる(ドゥノボ合成)には手間と時間がたくさんかかります。そこで、肝臓以外の細胞では、出来上がりの材料を使って核酸を合成しています(サルベージ合成)。

ドゥノボ合成
アミノ酸やビタミンから新しく核酸をつくる道。肝臓で行われます。
サルベージ合成
核酸の分解物を使って合成する道。骨髄や腸粘膜など細胞分裂が激しいところでは優先的に行われます。

核酸の代謝

いらなくなった核酸のプリン塩基は、最終的に水に溶ける尿酸になって排泄されます。ピリミジン塩基は捨てられずにアミノ酸のアラニンなどに変えられて再利用されていきます。

尿酸とは

核酸がからだの中で変化してできるいちばん最後の物質、尿酸。尿酸と聞いて思い出されるのは「痛風」です。捨てられるべき尿酸がからだの中に増えすぎると風が当たっても痛い「痛風」になってしまいます。なので尿酸は悪い感じのイメージがありますが、実はからだのサビ取り(抗酸化)に働いてくれている大事な物質です。

赤血球と核酸

毎日酸素を運んでくれている赤血球。この赤血球は、肝臓で合成された核酸も全身に運んでくれる役割を果たしています。

人の体は毎日生まれ変わる細胞のために全身で核酸を必要としていますが、この核酸を全身に運んでくれるのが赤血球です。

ビタミンB群と核酸

ビタミンB群が人のからだの中で活性化するときに、核酸・塩基が必要なものもあります。特に核酸とビタミンB群が一緒に摂られたときにはビタミンB群の代謝が非常に上昇します。

ビタミンB群を摂るときは、核酸も一緒に摂ると効果的です。

妊婦さんと核酸・葉酸

葉酸は核酸の材料になります。

妊婦さんで葉酸不足になると細胞分裂するときに必要な核酸ができにくくなってしまいます。核酸の不足は奇形児が生まれる可能性を高めてしまいます。

妊婦さんに限らず、妊娠する予定の女性は葉酸をせっせと摂りましょう。妊婦さんの葉酸摂取は、厚生労働省もサプリメントの摂取を勧めています。

【参考】葉酸と神経管閉鎖障害:e-ヘルスネット(厚生労働省)

赤ちゃん(新生児)と核酸、亜鉛

赤ちゃん新生児は細胞分裂が非常に盛んです。毎日大きくなる赤ちゃんは皮膚も分裂がとても盛んです。
つまり、分裂するのに核酸やタンパク質などの材料がたくさん必要になります。

赤ちゃんはすべての栄養を母乳や人工ミルクからもらっています。ですので母乳やミルクに亜鉛が不足している場合、
皮ふにトラブルが出るおそれがあります。これを乳児湿疹といいますが、間違えてアトピーという診断を下される場合が多いようです。
赤ちゃんの皮ふトラブルは、母乳やミルク中の亜鉛の欠乏も視野に入れておくとよいでしょう。

血液検査において、亜鉛の欠乏はALPでみます。

貧血と核酸

肝臓の悪い人は貧血になってしまうことが多くあります。
肝臓が悪いということは、残念ながら核酸を最初からつくるドゥノボ合成がきちんとできないということになります。すると、新しい細胞の元になるDNAの材料が充分に供給できなくなり、骨髄でも造血機能が低下してくるので、肝臓が悪くなると貧血になってしまう方が多いのです。

また、核酸供給が落ちてしまうと、皮膚などの細胞分裂のスピードも落ちてきます。そして皮ふの状態が悪くなってしまいます。

肝硬変と核酸補給

肝硬変。このとき、肝臓自身が修復するために細胞分裂は絶対必要です。肝硬変で肝臓が治らない、というのではなく、修復するだけの核酸を栄養素として送り込んで、サルベージ合成をさせて肝を修復・改善させるということがひとつの案となります。

健やかなDNAつくりに亜鉛が大切

親の細胞のすべての遺伝子が、必ず次の新しい細胞に正確に伝えられていきます。これがDNAの複製です。

わたしたちのからだの中では、毎日ものすごい速さで細胞が分裂しています。DNAの複製では、常に同じ塩基配列がコピーされていきます。数にすると、毎秒50個ずつのヌクレオチドが重合されていくそうです。

そしてそのDNAが2つに分かれていくときに大事なのが「ジンクフィンガー」と呼ばれるタンパク質です。これがDNAが2つに分かれるときに大活躍しています。ジンク=亜鉛を示す通り、亜鉛不足ではDNAの複製がうまくいかないということが起きてしまいます。

毎日の健やかな核酸つくりのためにも亜鉛は必須です。

核酸の臨床への応用

核酸は以下のような臨床への応用が期待されています。

  • 皮ふの若返り、しみ、しわ
  • 糖尿病の血管障害抑制
  • 脳機能の改善
  • 免疫増強作用
  • 老化抑制
  • 肝機能改善 など

核酸を多く含む食品

核酸を多く含む食品には何があるでしょう。
核酸を多く含む食品としては、魚の白子があります。

グルコサミンとコンドロイチン硫酸はグリコサミノグリカンの構成成分となります。
グリコサミノグリカンは関節や関節軟骨、関節液、角膜、皮ふなどにあって、組織を柔軟にしたり、水分を保持して潤わせるという作用があります。
コンドロイチン硫酸とグルコサミンの2つを併せて摂ることで、相乗的に作用します。

コンドロイチン硫酸とグルコサミン

コンドロイチン硫酸単独での関節症への効果は否定的な報告もありますが、それを認める報告もあります。
しかし関節症へのグルコサミンとの併用に関しての有効な報告が多く、この2つの組み合わせは、関節症での王道の組み合わせとなっています。

総死亡率を下げる!?グルコサミンとコンドロイチン

グルコサミンとコンドロイチンのサプリメント摂取が総死亡率を下げる!?
平均10年間に及ぶグルコサミンとコンドロイチン硫酸の摂取が、どちらについても総死亡率を下げることと関係していたと報告されました。

これは、アメリカ ワシントン州の住民約7万7千人(50-76歳)を平均5年間追跡した結果です。(前向きコホート研究)

Pocobelli G ,et al.,Am J Clin Nutr. 2010 Jun;91(6):1791-800. Epub 2010 Apr 21.
Total mortality risk in relation to use of less-common dietary supplements.

コンドロイチン硫酸

コンドロイチン硫酸は軟骨組織から抽出されたムコ多糖です。軟骨細胞という意味のギリシャ語「コンドロサイト」が語源です。

ムコ多糖とは

ムコ(muco)とは粘液性の、という意味です。ムコ多糖には、眼のガラス体、とさか、関節液、皮膚などに多く含まれるヒアルロン酸、動物の軟骨組織内や結合組織に含まれるコンドロイチン硫酸などがあります。

コンドロイチン硫酸の構造

コンドロイチン硫酸はどんな構造をしているでしょう。
コンドロイチン硫酸の構造は、D-グルクロン酸とN-アセチルガラクトサミンの2糖が繰り返しつながってできた多糖になっています。

コンドロイチン硫酸の分布

コンドロイチン硫酸は、結合組織の主要成分です。タンパク質と結合したコンドロムコタンパク質として軟骨、皮ふ、血管、靭帯、粘液など、あらゆるところに広く分布しています。

結合組織とは

血液は血管の中で全身に必要な酸素や栄養素を細胞まで運んでくれます。しかし血管が直接細胞に貫通しているわけではなく、細胞と細胞をつなぐ結合組織を通って、そこを栄養で満たし、細胞に栄養を供給してくれています。つまり、結合組織は細胞に栄養を送る役目を果たしてくれているのです。

また結合組織は細胞と細胞のすきまを埋めて器官の固定や保護といった役割も果たしています。このクッションとなる結合組織の主要成分がコンドロイチン硫酸などです。結合組織がふかふかになるようにその水分を保持してくれています。

コンドロイチン硫酸の種類

コンドロイチン硫酸はA~E、H,Kの7つあります。一口に「コンドロイチン硫酸」といっても、どんなコンドロイチンが入っているかで効果は違ってきます。

コンドロイチン硫酸とタンパク質

コンドロイチン硫酸は体内ではそのままでは存在しません。コンドロイチン硫酸は、生体内では必ずタンパク質と結合しています。そして複雑な複合体をつくっています。このタンパク質が変性してしまうと、コンドロイチンの機能は果たされません。コンドロイチン硫酸がタンパク質とくっついてできたものをコンドロムコタンパクといい、これが生体内で機能を発揮します。

コンドロイチン硫酸の吸収

コンドロイチン硫酸は大きな分子なので、サプリメントで摂っても吸収されないのでは、という疑問がわくかもしれません。
この点に関しては、人でのさまざまな報告があります。そして現在、人にコンドロイチン硫酸を経口投与すると、ある程度吸収されるものと考えられています。

コンドロイチン硫酸の働き

コンドロイチン硫酸は、体内のさまざまな組織に存在します。特に結合組織や関節液などに多く含まれ、肌の保湿や水分の調節に働きます。

  • 水分の保持
  • 水分の調節
  • 物理的な刺激に対する吸収剤

保水性を保つコンドロイチン硫酸

コンドロイチン硫酸はマイナスに荷電しています。そのため、お隣同士が反発して隙間ができます。そしてその隙間に水が入り込みます。その入った水が動きにくい状況になって水が保たれ、保水性を発揮します。

ミネラルとコンドロイチン硫酸

ミネラルはプラスに荷電しています。一方、コンドロイチン硫酸はマイナスに荷電しています。
コンドロイチン硫酸が体内できちんとつくられているということはマイナスの電気があるということなので、プラスの電気を持ったミネラルがくっつきやすい、つまり結合組織が健全であるということを示します。

コンドロムコタンパクがきちんと生合成されているということは、カルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルの働きが充分にできていますよ、ということにもなるのです。

コンドロムコタンパクは老化とともに減少します。

このコンドロムコタンパクの量は老化とともに減少します。

コンドロムコタンパクは保水性があるので、その減少は皮ふの老化につながってしまいます。例えば皮ふのコンドロムコタンパクが少なくなれば皮ふが乾燥し、しわができたりします。そしてせっかくの肌がカサカサになってしまいます。

アンチエイジングにコンドロイチン硫酸補給が役立つことが期待されています。

軟骨とコンドロイチン硫酸

軟骨と軟骨の間にある滑液もコンドロムコタンパクでできています。
関節は結合組織がたくさんある臓器の代表です。

薬の解毒とコンドロイチン硫酸

飲んだ薬は必ず解毒をするように、私たちのからだは働いてくれます。このとき、コンドロイチン硫酸の一部であるグルクロン酸や硫酸残基が解毒に関わります。

コンドロイチン硫酸の臨床応用への期待

コンドロイチンは、以下のような研究による効果が報告され、その臨床応用が期待されています。

  • 変形性関節症
  • 腎炎
  • 疼痛性疾患(関節痛、腰痛、神経痛、五十肩など)
  • 疲労回復
  • 血栓抑制作用
  • 角膜保湿作用(ドライアイ)
  • 音響外傷性難聴 など

グルコサミン

グルコサミンは、グルコースにアミノ基が1つついた小さな分子です。人の体内ではグルコースから作られます。

グルコサミンは人の身体のなかに存在しています。関節軟骨や皮膚にはグリコサミノグリカンという分子があって、組織を柔軟にし、水分を保つ働きをしています。グルコサミンはグリコサミノグリカンの構成成分です。

グルコサミンの分布

グルコサミンは、動物体内ではタンパク質の成分として、関節軟骨、爪、腱、靭帯、皮フ、心臓弁および結合組織に分布しています。

グルコサミンの吸収

サプリメントとして摂ったグルコサミンは、とても小さな分子なので、腸管あるいは胃壁からそのまま吸収されると考えられています。

人がグルコサミンを口から摂ると、速やかに吸収されて血液中に移り、運ばれていきます。そして腎臓、肝臓、関節軟骨を含む他の組織に分布していきます。

グルコサミンの生理機能

グルコサミンにはどんな生理作用があるのでしょう。グルコサミンには、軟骨などの強度、柔軟性、弾力性に役立つ成分になる栄養素的な役割と、抗炎症作用などの薬理作用の2つがあります。

  • 生体の構成成分(軟骨などの強度、柔軟性、弾力性に役立つ成分になる)
  • 薬理作用(抗炎症作用、関節軟骨の損傷抑制など)

グルコサミンの働き

グルコサミンの働きとしては、変形性関節症や関節炎に伴う症状の予防や改善が期待されています。その他に期待されるグルコサミンの働きとしては抗炎症作用などが挙げられています。

  • 変形性関節症や関節炎に伴う症状の予防や改善
  • 関節軟骨の修復作用
  • 関節軟骨の保護作用
  • 抗炎症作用を発揮する可能性
  • 血栓予防作用
  • 抗動脈硬化作用
  • 美肌作用 など

乾燥肌のお手入れとグルコサミン

乾燥肌のお手入れ方法。外側ではなく内側からのお手入れはいかがでしょうか?

乾燥肌の女性にグルコサミンを投与した場合、肌の保水力や滑らかさを向上することが報告されています。

食べ物に含まれるグルコサミン

人は食べ物(肉や魚)に含まれるプロテオグリカンの成分としてグルコサミンを摂っています。これはグルコサミンを摂っていることになるのでしょうか?
残念ながら答えはノーです。

これら肉や魚の中にあるグルコサミンは人が持っている酵素では分解されないので、グルコサミンを直接摂ったことにはなりません。
グルコサミンを摂る場合はサプリメントで補うことになります。

治療の実際と改善例

栄養素の説明

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