栄養素の説明 - タンパク質

イワシ&ゴマペプタイド

血圧を下げるペプタイド

血圧を下げる食品由来のペプタイドが多数見つかっています。ペプタイドとはアミノ酸がいくつかつながったもののことです。

高血圧の治療

高血圧の治療には食事療法や運動療法が行われますが、これらだけでは充分に血圧が下がらない場合、薬が使われます。

そのとき、血圧を下げるペプタイドは、血圧を下げる薬よりも効果は緩やかですが、副作用の心配がない安全なものとして効果が期待されています。なお、これらのペプタイドは血圧が正常に機能している場合は働きません。

ゴマの効能 ~ゴマペプタイド~

血圧を下げるのがゴマの効能!?

ゴマそのものではありませんが、ゴマのタンパク質を分解して取り出したゴマペプタイドに血圧を下げる効果が認められています。

今のところ7種類のゴマペプタイドが血圧低下ペプタイドとして見つかっています。いずれもアミノ酸が3つ~5つくっついたペプタイドです。

Nakano D.et al.Biosci Biotechnol Biochem. 2006 May;70(5):1118-26.

血圧を下げる ~イワシペプタイド~

魚肉由来の血圧を下げるペプタイドとして、イワシ由来のイワシペプタイド、サケ由来のサーモンペプタイドなどが知られています。特に、イワシ由来のイワシペプタイドは、特定保健用食品では最も多く利用されているペプタイドです。

血圧調節の仕組み

血圧を調節するメカニズムは複雑ですが、主に血圧を上げる系と血圧を下げる系の2つによってバランスが保たれています。そのなかでも「レニン・アンジオテンシン系」という仕組みがもっとも食事と関係の深い血圧調節系であると考えられています。

そのメカニズムの中で血圧を上げないように穏やかに働いてくれるのが血圧降下ペプチドとよばれるものです。代表的なものにイワシペプタイド、ゴマペプタイドなどがあり、特定保健用食品にも指定されています。イワシとゴマのペプタイドは、血圧を調節する2つの仕組み両方に働いて血圧を上げるのを防いでくれます。

高血圧は危ない?

いろいろと話題となる高血圧。

高血圧は「サイレントキラー(静かな暗殺者)」といわれています。自覚症状も少なく、病気であるという意識が低い病態です。脳卒中や心筋梗塞など死亡率の高い病気のリスク・ファクターとなります。

血圧とは

血圧とは何でしょう。

私たちのからだには「血」が流れています。血は私たちが生きるために必要な酸素や栄養素、老廃物を毎日運んでくれています。栄養や酸素を運んでくれているのが動脈血、体中の細胞から集められた老廃物を運ぶ役割をしてくれているのが静脈血です。

血液は心臓がポンプの働きをして血を通す管(血管)を通して体中の臓器や細胞へと運ばれます。血圧とは、血液が全身に送り出されるときに血管にかかる圧力のことです。この圧力が基準値以上の状態が続く状態を高血圧といいます。

血圧の種類

血圧には最高血圧と最低血圧があります。

心臓が縮まって血液が押し出されたときの圧力を最高血圧(収縮期血圧)、心臓が大きく拡がって血液が戻ってきたときの血圧を最低血圧(拡張期血圧)といいます。

血圧の測定

自分の血圧を知るために、血圧を測定してみましょう。

心臓は1日10万回収縮します。つまり、血圧は1日10万回変動する可能性があるということです。

血圧はストレスや環境によって変わってしまうため、何回か測って自分の血圧が一日の中でどう変わるのか把握しておくことが大切です。
24時間測ることのできる血圧測定器も出ているようです。

血圧の正常値とは?

血圧の正常値とはどのくらいの値のことでしょう。

高血圧治療ガイドライン(2009)で定められている血圧目標値は以下の通りです。降圧目標は、年齢や合併症の有無により異なります。高血圧の方に限らず一般の方でも、病院や診療所で測ると家庭よりも高い数値が出ることが多いため、診察室血圧と家庭血圧の2種類に分けられています。

  診察室血圧 家庭血圧
若年者・中年者 130/85mmHg 未満 125/80mmHg 未満
高齢者 140/90mmHg 未満 135/85mmHg 未満
糖尿病患者
慢性腎臓病
心筋梗塞後患者
130/80mmHg 未満 130/85mmHg 未満
脳血管障害患者 140/90mmHg 未満 135/85mmHg 未満

降圧目標(mmHg):日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009」より

高血圧の種類 ~本態性高血圧~

高血圧には2種類あります。

日本人の90%以上が入るのが本態性高血圧(一次性高血圧)と呼ばれるもので、原因がはっきりしていない高血圧のことです。食習慣、運動不足、肥満、喫煙、飲酒、ストレスなどが関係するといわれています。

もうひとつは「二次性高血圧」と呼ばれ、腎臓病やホルモン異常など、原因となる病気があるものをいいます。こちらは、原因となる病気が治ると、高血圧も改善します。

遺伝と高血圧

本態性高血圧は遺伝的な要素が強く、両親ともに高血圧の場合、子どもが高血圧になる確率は50%といわれています。

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治療の実際と改善例